
「IFRS15について、その複雑さに戸惑いを感じている」あるいは「外資系企業での実務において、この基準をどのように適用すれば良いのか明確な指針が見出せない」といったお悩みをお持ちではないでしょうか。
顧客との契約から生じる収益の認識は、企業の財務報告において極めて重要な要素です。特に国際的なビジネスを展開する外資系企業では、IFRS15(国際財務報告基準第15号)への深い理解と正確な適用が不可欠とされています。
この記事では、外資系経理として英文会計の実務に精通した会計専門家の立場から、IFRS15の基本的な考え方から、その核心である「5ステップモデル」、そして実際のビジネスシーンでの適用方法までを、詳細かつ分かりやすく解説いたします。
この情報を通じて、皆様がIFRS15の本質を理解し、日々の業務における収益認識の判断を自信を持って行えるようになることを目指します。
- ✨ IFRS15(収益認識基準)の基本的な考え方と導入の背景を理解できます。
- ✨ IFRS15の核となる「5ステップモデル」の具体的な適用方法を詳細に把握できます。
- ✨ 外資系企業の実務で役立つIFRS15関連の英文会計フレーズと、適用における具体的な課題への対処法が見つかります。
収益認識の国際基準IFRS15とは何か?

IFRS15(国際財務報告基準第15号)は、「顧客との契約から生じる収益」の認識、表示、開示に関する統一的なルールを定めた国際会計基準です。
この基準は、企業が顧客に財またはサービスを移転した際に、企業が期待する対価の額で収益を認識することを原則としています。従来の収益認識基準は、業種や国によって多様な解釈が存在し、複雑な契約形態に対応しきれないという課題を抱えていました。
そこで、国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)が共同でプロジェクトを進め、世界中で一貫した収益認識基準を確立することを目指して開発されたのがIFRS15です。
この基準の主な目的は、履行義務の充足タイミングと程度を明確にすることで、収益の計上タイミングと金額をより正確に財務諸表に反映させることにあります。これにより、企業の財務報告の比較可能性と信頼性が大幅に向上すると期待されています。
IFRS15が求められる背景と5ステップモデルの全体像

IFRS15は、単なる会計基準の変更に留まらず、企業のビジネスモデルや契約実務、ITシステム、内部統制に至るまで広範な影響を及ぼす重要な改訂と位置付けられています。
特に外資系企業で働く方々にとって、その背景と核心的なアプローチである「5ステップモデル」を深く理解することは、正確な財務報告と効果的な経営判断を行う上で不可欠な知識と言えるでしょう。
なぜIFRS15が必要とされたのか?その目的と歴史的経緯
従来の収益認識基準は、世界各国で異なる会計実務が存在しており、特定の業界では複雑な取引における収益認識の方法が不明確であるという課題がありました。
例えば、製品販売と保守サービスが一体となった契約や、ソフトウェアのライセンス供与とカスタマイズサービスを含む契約など、複数の財やサービスを顧客に提供する多要素契約において、収益をどのように認識すべきかについての統一的な指針が不足していたのです。
このような状況では、企業間や国境を越えた比較が困難となり、投資家やその他の利害関係者が企業の財務状況を正確に評価することが難しいという問題が生じていました。
この課題を解決するため、IASB(国際会計基準審議会)とFASB(米国財務会計基準審議会)は、収益認識に関する共同プロジェクトを開始し、2014年にIFRS15として公開しました。
この基準の導入は、財務報告の比較可能性と透明性を向上させ、企業が経済実態に即した収益を認識することを目的としています。日本では、2022年4月1日以後開始する事業年度から強制適用される企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」として、IFRS15とほぼ同様の原則が取り入れられています。
IFRS15の核心「5ステップモデル」の解説
IFRS15の適用にあたって最も重要な概念は、収益認識を体系的に行うための「5ステップモデル」です。このモデルは、どのような業種や契約形態の企業であっても、一貫して収益認識プロセスを適用できるよう設計されています。
外資系経理の皆様は、この各ステップを正確に理解し、実務に落とし込むことが求められます。各ステップの具体的な内容は以下の通りです。
Step1: 顧客との契約を識別する (Identify the contract with a customer)
最初のステップは、顧客との間で法的に有効な契約が存在するかどうかを識別することです。
IFRS15において契約と認められるためには、以下の全ての要件を満たす必要があります。
- 当事者が契約を承認し、それぞれの権利を確約していること。
- 移転される財またはサービスに関する支払条件を特定できること。
- 契約に商業的実質があること。
- 企業が顧客から対価を受け取る可能性が高いこと。
契約の識別は、その後の収益認識プロセスの出発点となるため、慎重な判断が求められます。
外資系企業では、多言語での契約書、複数の法域にまたがる契約など、契約の複雑性が高いため、リーガル部門との連携も重要になると考えられます。
契約書を確認してください。
Please review the contract document.
「review」は「再検討する、見直す」という意味で、文書の内容を細かく確認する際に使われます。
単語)review /rɪˈvjuː/ 見直す、再検討する
この契約はIFRS15の要件を満たしていますか?
Does this contract meet the IFRS 15 criteria?
「meet criteria」は「基準を満たす」という意味のビジネスでよく使う表現です。
単語)criteria /kraɪˈtɪəriə/ 基準、標準
顧客の権利と義務を明確にする必要があります。
We need to clarify the customer's rights and obligations.
「clarify」は「明確にする」という意味で、不明瞭な点をはっきりさせる際に使います。「obligations」は会計においてよく出てくる「債務」という意味です。
単語)clarify /ˈklærɪfaɪ/ 明確にする
単語)obligations /ˌɒblɪˈɡeɪʃənz/ 義務、債務
この契約には商業的実質があります。
This contract has commercial substance.
「commercial substance」はIFRS15において重要な概念であり、契約が実質的な経済的影響を持つことを指します。
単語)commercial /kəˈmɜːrʃəl/ 商業的な
単語)substance /ˈsʌbstəns/ 実質、中身
対価の回収可能性を評価してください。
Please assess the collectibility of the consideration.
「assess」は「評価する」という意味で、リスクや可能性を判断する際に使います。「collectibility」は「回収可能性」という会計特有の用語です。
単語)assess /əˈsɛs/ 評価する
単語)collectibility /kəˌlɛktəˈbɪləti/ 回収可能性
単語)consideration /kənˌsɪdəˈreɪʃən/ 対価、報酬
Step2: 履行義務を識別する (Identify the performance obligations)
次に、顧客との契約において、企業が顧客に提供することを約束した個別の財またはサービス(履行義務)を識別します。
重要なのは、これらが「別個のもの」として識別されるかどうかという点です。別個の財またはサービスとは、顧客がそれを単独で便益を享受できる、または他の財・サービスと組み合わせて便益を享受できることを指します。
例えば、製品の販売とそれに付随する保守サービスが契約に含まれている場合、これらは別個の履行義務として識別される可能性があります。従来の基準では一括で認識されていた収益が、IFRS15では複数の履行義務に分解され、それぞれ異なるタイミングで認識されることがあるため、このステップは特に実務上の影響が大きいと言えます。
全ての履行義務を識別する必要があります。
All performance obligations must be identified.
「performance obligations」はIFRS15で中心的な概念である「履行義務」を指します。
単語)performance /pərˈfɔːrməns/ 履行、実行
単語)obligations /ˌɒblɪˈɡeɪʃənz/ 義務、債務
財とサービスを分離してください。
Please disaggregate the goods and services.
「disaggregate」は「分離する、細分化する」という意味で、個別の構成要素に分ける際に使われます。
単語)disaggregate /ˌdɪsˈæɡrɪɡeɪt/ 分離する、細分化する
個別の財またはサービスとして識別できますか?
Can it be identified as a distinct good or service?
「distinct」は「別個の、明確に異なる」という意味で、会計基準において重要な概念です。
単語)distinct /dɪˈstɪŋkt/ 別個の、明確に異なる
これは顧客にとって別個の便益を提供します。
This provides a distinct benefit to the customer.
「benefit」は「便益、利益」という意味で、顧客がその財やサービスから得られる価値を指します。
単語)benefit /ˈbɛnɪfɪt/ 便益、利益
履行義務の充足を評価します。
We will assess the satisfaction of the performance obligations.
「satisfaction」はここでは「充足、達成」という意味で、履行義務が果たされた状態を指します。
単語)satisfaction /ˌsætɪsˈfækʃən/ 充足、達成
Step3: 取引価格を算定する (Determine the transaction price)
識別された履行義務に対して、企業が顧客から受け取ることが期待される対価の額、すなわち取引価格を算定します。
取引価格には、固定対価だけでなく、変動対価(リベート、割引、返金、ペナルティなど)も含まれます。変動対価がある場合、企業は利用可能な情報に基づいて、収益の著しい減額が発生しないと見込まれる範囲で、その額を見積もる必要があります。
変動対価の見積もりには、「期待値アプローチ」と「最頻値アプローチ」という二つの方法があり、それぞれの契約の状況に応じて適切な方法を選択しなければなりません。この見積もりは、将来の事象に依存するため、実務上、特に慎重な判断と専門知識が求められるステップです。
取引価格を決定します。
We will determine the transaction price.
「transaction price」はIFRS15における「取引価格」であり、企業が顧客から受け取る対価の総額を指します。
単語)determine /dɪˈtɜːrmɪn/ 決定する、特定する
単語)transaction /trænˈzækʃən/ 取引
変動対価を見積もってください。
Please estimate the variable consideration.
「estimate」は「見積もる」という意味で、変動対価はIFRS15で慎重な見積もりが求められる要素です。
単語)estimate /ˈɛstɪmɪt/ 見積もる
単語)variable /ˈvɛəriəbəl/ 変動する
期待値アプローチを使用します。
We will use the expected value method.
「expected value method」は変動対価を見積もる際に用いられる手法の一つです。
単語)expected /ɪkˈspɛktɪd/ 期待される
単語)method /ˈmɛθəd/ 方法、手法
最頻値アプローチを検討してください。
Consider the most likely amount method.
「most likely amount method」も変動対価を見積もる手法で、最も起こりうる結果に基づいて見積もります。
単語)likely /ˈlaɪkli/ 可能性が高い
対価の構成要素は何ですか?
What are the components of the consideration?
「components」は「構成要素」という意味で、対価が何で構成されているかを尋ねる際に使われます。
単語)components /kəmˈpoʊnənts/ 構成要素
Step4: 履行義務に取引価格を配分する (Allocate the transaction price to the performance obligations)
算定された取引価格を、識別された各履行義務に配分します。
原則として、各履行義務に「単独販売価格(Standalone Selling Price: SSP)」に基づいて比例配分されます。単独販売価格とは、企業が個々の財やサービスを独立して顧客に販売する場合の価格を指します。もしSSPが直接観察できない場合(例: 新規製品やサービスの場合)、入手可能な情報に基づいて見積もる必要があります。
SSPの見積もりは、市場価格、コストプラスマージン、残余アプローチなど、複数の方法が考えられますが、その見積もりの根拠と妥当性を説明できるよう準備しておくことが重要です。
この配分により、各履行義務が充足されるタイミングで、対応する収益額が認識されることになります。このステップは、特に複数の財やサービスをパッケージとして提供する企業にとって、収益の計上額に大きな影響を与える可能性があります。
取引価格を各履行義務に配分してください。
Please allocate the transaction price to each performance obligation.
「allocate」は「配分する、割り当てる」という意味で、価格を各要素に割り振る際に使います。
単語)allocate /ˈæləkeɪt/ 配分する
単独販売価格に基づいてください。
It should be based on the standalone selling price.
「standalone selling price (SSP)」はIFRS15で非常に重要な概念であり、各履行義務の相対的な価値を決定する際に用いられます。
単語)standalone /ˌstændˈəloʊn/ 単独の、独立した
単独販売価格を見積もる必要があります。
We need to estimate the standalone selling price.
SSPが観察できない場合、企業は適切な方法を用いて見積もる必要があります。
相対的単独販売価格を適用してください。
Apply the relative standalone selling price method.
「relative」は「相対的な」という意味で、複数の履行義務がある場合に用いられる配分方法です。
単語)relative /ˈrɛlətɪv/ 相対的な
配分方法の根拠を文書化してください。
Document the basis for the allocation method.
「basis」は「根拠、基礎」という意味です。監査対応のためにも文書化が必須です。
単語)document /ˈdɒkjumənt/ 文書化する
単語)basis /ˈbeɪsɪs/ 根拠、基礎
Step5: 履行義務の充足時に収益を認識する (Recognize revenue when (or as) the entity satisfies a performance obligation)
最後のステップは、企業が顧客との契約における履行義務を充足したときに、対応する収益を認識することです。
履行義務は、以下のいずれかのタイミングで充足されると判断されます。
- 一時点の充足 (At a point in time): 顧客が財またはサービスに対する支配を獲得した時点。例えば、商品の販売時などです。
- 一定期間にわたる充足 (Over time): 顧客が財またはサービスに対する支配を、企業が履行義務を充足するにつれて獲得する場合。例えば、長期の保守サービスや建設契約などです。
支配の移転の判断には、顧客が資産に対する物理的占有、法的所有権、重要なリスクと経済的便益、受け入れの承認などを有しているかを総合的に考慮する必要があります。特に「一定期間にわたる充足」の場合、進捗度に応じて収益を認識するため、適切な進捗度測定方法(投入法や産出法)の選択が重要となります。
このステップは、最終的な収益の計上タイミングを決定するため、キャッシュフローや業績指標に直接的な影響を及ぼします。外資系経理においては、異なる国のビジネスユニット間でこの判断基準を統一し、正確に適用することが求められます。
履行義務が充足されたときに収益を認識します。
Recognize revenue when the performance obligation is satisfied.
「satisfy」はここでは「満たす、充足する」という意味です。
支配の移転を判断してください。
Determine the transfer of control.
「transfer of control」はIFRS15において収益認識のタイミングを決定する鍵となる概念です。
単語)transfer /ˈtrænsfɜːr/ 移転、譲渡
単語)control /kənˈtroʊl/ 支配
収益は一時点で認識されます。
Revenue is recognized at a point in time.
特定のイベント発生時に収益を認識する場合の表現です。
収益は一定期間にわたり認識されます。
Revenue is recognized over time.
サービス提供期間や建設期間など、一定期間にわたって収益を認識する場合の表現です。
進捗度を測定する必要があります。
We need to measure the progress towards completion.
「progress towards completion」は一定期間にわたる収益認識で、どの程度履行義務が果たされたかを測定する際に使われます。
単語)progress /ˈprɒɡrəs/ 進捗
単語)completion /kəmˈpliːʃən/ 完了
IFRS15の具体的な適用事例と外資系企業への影響
IFRS15の5ステップモデルは、一見すると抽象的に感じられるかもしれません。しかし、実際のビジネスシナリオに適用することで、その意義と影響をより深く理解することができます。
ここでは、外資系企業で特に頻繁に遭遇する可能性のある具体的な事例を挙げ、IFRS15がどのように適用されるかを解説します。
事例1: ソフトウェア販売と保守サービスが一体となった契約
ソフトウェア会社が顧客にソフトウェアライセンスを販売し、同時に1年間の保守サービスを提供する契約を結んだと仮定します。
従来の基準では、ソフトウェアと保守サービスを一括で収益として認識することが多かったかもしれません。しかし、IFRS15では、この契約に含まれる個別の履行義務を識別することが求められます。
具体的には、ソフトウェアのライセンス供与と保守サービスは、それぞれが顧客にとって「別個の財またはサービス」として識別される可能性が高いです。Step2でこれらを識別した後、Step3で全体の取引価格を算定し、Step4でその取引価格をソフトウェアと保守サービスのそれぞれの単独販売価格(SSP)に基づいて配分します。
そしてStep5では、ソフトウェアの収益はライセンスが顧客に移転した「一時点」で認識され、保守サービスの収益は1年間のサービス期間にわたって「一定期間」認識されることになります。この結果、従来の会計処理と比較して、収益の認識タイミングが大きく変更される可能性があります。
ソフトウェアライセンスの供与は別個の履行義務です。
The software license grant is a distinct performance obligation.
「license grant」は「ライセンス供与」という意味で、ソフトウェアビジネスで頻繁に用いられます。
単語)license /ˈlaɪsəns/ ライセンス、免許
単語)grant /ɡrɑːnt/ 供与する、与える
保守サービスは一定期間にわたり認識されます。
Maintenance services are recognized over time.
保守サービスのような継続的な役務提供は、通常「over time」で収益認識されます。
単語)maintenance /ˈmeɪntənəns/ 保守、維持
単独販売価格に基づいて配分する必要があります。
We must allocate based on standalone selling prices.
SSPによる配分は、複数の履行義務を含む契約で不可欠なステップです。
事例2: 通信会社の携帯電話販売と通信サービス契約
通信会社が顧客に携帯電話(端末)を大幅な割引価格で提供し、その代わりに2年間の通信サービス契約を結ぶというケースもよく見られます。
この契約では、携帯電話の提供と通信サービスの提供が別個の履行義務として識別されます。ここで重要なのは、携帯電話の割引が実質的には通信サービスから得られる収益によって補填されていると見なされる点です。
Step3で全体の取引価格を算定する際、通常、端末の割引額は通信サービスからの対価の一部として変動対価に含めて考慮されることがあります。Step4では、携帯電話と通信サービスそれぞれのSSPに基づいて取引価格を配分します。このとき、割引された携帯電話の価格だけではなく、通信サービスによって得られるであろう利益を含めて、より実態に即した配分を行います。
Step5では、携帯電話の収益は顧客に端末が引き渡された「一時点」で認識され、通信サービスの収益は2年間の契約期間にわたって「一定期間」認識されます。これにより、従来の基準よりも端末販売時の収益認識が抑えられ、通信サービス期間にわたって収益が平準化される可能性があります。
携帯電話の割引は通信サービスへのインセンティブです。
The handset discount is an incentive for the service contract.
「handset」は「携帯電話端末」を指します。「incentive」は「誘因、奨励」という意味です。
単語)handset /ˈhændsɛt/ 携帯電話端末
単語)incentive /ɪnˈsɛntɪv/ 誘因、奨励
通信サービスは2年間にわたり提供されます。
The telecommunication service will be provided over two years.
「telecommunication」は「電気通信」という意味です。
変動対価として割引を考慮します。
We consider the discount as variable consideration.
変動対価の具体的な例として割引が挙げられます。
契約期間中の収益を平準化します。
Amortize revenue evenly over the contract term.
「amortize」は「償却する、平準化する」という意味で、収益や費用を期間配分する際に用いられます。
単語)amortize /ˈæmərˌtaɪz/ 償却する、平準化する
顧客獲得コストを認識する必要があります。
Customer acquisition costs need to be recognized.
IFRS15では、契約獲得コストも特定の条件下で資産計上し、償却することが求められます。
単語)acquisition /ˌækwɪˈzɪʃən/ 獲得、取得
事例3: 建設工事請負契約
大規模な建設工事請負契約は、典型的に「一定期間にわたる履行義務の充足」に該当する事例です。
企業が顧客のために特定の資産を建設し、その過程で顧客が資産に対する支配を獲得している場合、または企業が代替的な用途のない資産を創出・増強し、その過程で履行を強制可能な権利を有している場合などがこれに該当します。この場合、工事の進捗度に応じて収益を認識していきます。
Step5では、工事の進捗度を測定するために、投入法(発生したコストの割合など)または産出法(完成した成果物の割合など)のいずれかの方法を選択し、進捗度を合理的に測定できる範囲で収益を認識します。
例えば、投入法を用いる場合、総見積りコストに対する発生済コストの割合を計算し、その割合に応じて取引価格を認識します。この際、見積もりコストの精度や進捗度測定の信頼性が極めて重要となります。
外資系建設会社の場合、国境を越えたプロジェクトが多く、契約条項や現地法規が複雑になるため、この進捗度測定と収益認識の正確性は、財務報告の透明性を保つ上で特に重要な課題となるでしょう。
建設契約は一定期間にわたり認識されます。
Construction contracts are recognized over time.
長期的なプロジェクトは通常、一定期間にわたる収益認識の対象となります。
進捗度を定期的に測定します。
We measure the progress towards completion periodically.
「periodically」は「定期的に」という意味で、継続的な測定の必要性を示します。
投入法を使用します。
We will apply the input method.
「input method」は、発生したコストに基づいて進捗度を測定する手法です。
産出法も考慮できます。
The output method can also be considered.
「output method」は、達成された成果物に基づいて進捗度を測定する手法です。
契約資産と契約負債を適切に計上してください。
Ensure proper recognition of contract assets and contract liabilities.
IFRS15では、「contract assets (契約資産)」と「contract liabilities (契約負債)」という新しい勘定科目が登場し、収益認識のタイミングとキャッシュフローの関係に応じて計上が求められます。
単語)assets /ˈæsɛts/ 資産
単語)liabilities /ˌlaɪəˈbɪlətiz/ 負債
外資系企業におけるIFRS15適用時の注意点
IFRS15は、外資系企業にとって、会計処理だけでなく、ビジネスプロセス全体に影響を及ぼす可能性があります。特に以下の点に注意が必要です。
- 日本基準との差異: 日本の「収益認識に関する会計基準」はIFRS15と基本的に同様の原則を採用していますが、一部に異なる解釈や適用上の注意点が存在する可能性があります。連結財務諸表作成時など、両基準間の差異を理解し、適切に対応することが求められます。
- 会計システムの改修: 5ステップモデルを正確に適用するためには、既存の会計システムやERPシステムの改修が必要となる場合があります。特に、複数の履行義務の分離、変動対価の見積もり、単独販売価格の算定、進捗度に応じた収益認識などの機能強化が求められます。
- 内部統制の強化: IFRS15の適用は、収益認識プロセスにおける判断要素を増加させます。そのため、各ステップにおける判断基準や見積もりの根拠について、十分な内部統制を整備し、文書化することが不可欠です。監査法人からの指摘事項にもなりやすい部分です。
- 開示要件の増加: IFRS15では、収益認識に関する詳細な開示が求められます。契約からの収益の内訳、主要な判断、変動対価の見積もり方法、残存履行義務の取引価格など、注記情報が増加する傾向にあります。これらを適切に準備するためには、早期からの情報収集と体制整備が重要となります。
これらの課題に対し、外資系経理担当者は、会計基準の知識に加え、事業内容への深い理解、ITシステムへの知見、そして監査法人との円滑なコミュニケーション能力が求められるでしょう。
「IFRS15のStep2で、どこまで細かく履行義務を分解すればよいか迷います。特に多要素契約の場合、判断が難しいです。」
このご相談は、IFRS15の実務において最も多く寄せられる質問の一つです。
履行義務の識別の肝は、「顧客にとって別個の便益を提供するか否か」という視点にあります。契約に含まれる財やサービスが、顧客が単独で便益を享受できるか、あるいは他の容易に入手可能な資源と組み合わせて便益を享受できるかを慎重に検討することが重要です。
例えば、ソフトウェアとカスタマイズサービスの場合、カスタマイズがなければソフトウェアが機能しないのであれば一体と見なされる可能性が高く、標準的なカスタマイズであれば別個と見なされる可能性があります。判断に迷う場合は、まずは契約書を詳細に読み込み、提供される財やサービスの本質的な目的を理解することが出発点です。
また、類似の業界や他社の開示事例を参考にしたり、監査法人との事前相談を通じて、自社の判断の妥当性を確認することも有効なアプローチと言えるでしょう。
重要なのは、一貫した判断基準を確立し、その根拠を文書化しておくことです。これは内部統制の観点からも極めて重要となります。
英文会計で役立つ!IFRS15関連の英語フレーズ30選
外資系企業で経理を担当する上で、IFRS15に関する英文フレーズの習得は不可欠です。
会計基準や取引の詳細について英語でコミュニケーションを取る機会は多く、正確な表現を使いこなすことが求められます。ここでは、IFRS15の各ステップに関連する実務で役立つ30の英文フレーズをご紹介します。
これらのフレーズを習得し、日々の業務で積極的に活用することで、英文会計のスキルをさらに向上させることができるでしょう。
また、これらの専門用語は、監査対応や国際的な会議での議論において、スムーズな意思疎通を図る上で非常に役立ちます。
この基準は2018年1月1日に発効しました。
This standard became effective on January 1, 2018.
「become effective」は「発効する」という意味で、会計基準や法律の適用開始日を述べる際によく使われます。
収益認識基準を適用します。
We apply the revenue recognition standard.
「apply」は「適用する」という意味で、特定の基準やルールをケースに当てはめる際に用いられます。
顧客との契約を評価します。
We will evaluate the contract with the customer.
「evaluate」は「評価する」という意味で、基準適合性やリスクなどを検討する際に使われます。
この契約はIFRS15の範囲内です。
This contract falls within the scope of IFRS 15.
「fall within the scope of」は「〜の範囲内である」という意味で、特定のルールや基準が適用されることを示します。
単語)scope /skoʊp/ 範囲
法的に強制力のある契約が必要です。
A legally enforceable contract is required.
「legally enforceable」は「法的に強制力のある」という意味で、契約の有効性を示す重要な表現です。
単語)enforceable /ɪnˈfɔːrsəbəl/ 強制力のある
顧客の信用リスクを考慮します。
We consider the customer's credit risk.
「credit risk」は「信用リスク」で、顧客が支払いを行わない可能性を指します。
単語)credit /ˈkrɛdɪt/ 信用
単語)risk /rɪsk/ リスク
契約の変更を評価します。
We assess contract modifications.
「contract modifications」は「契約変更」を指し、IFRS15では変更の会計処理に特定のルールがあります。
単語)modification /ˌmɒdɪfɪˈkeɪʃən/ 変更
契約資産は貸借対照表に計上されます。
Contract assets are recognized on the balance sheet.
「balance sheet」は「貸借対照表」です。IFRS15で新設された勘定科目の一つです。
契約負債を適切に記録してください。
Please properly record contract liabilities.
「record」は「記録する」という意味です。契約負債もIFRS15で登場する重要な勘定科目です。
この取引は複数の履行義務を含みます。
This transaction includes multiple performance obligations.
「multiple」は「複数の」という意味です。
履行義務を識別するのは難しい場合があります。
Identifying performance obligations can be challenging.
「challenging」は「困難な、やりがいのある」という意味で、複雑な状況を表現する際に使われます。
別個の財またはサービスですか?
Is it a distinct good or service?
「distinct」は「別個の」というIFRS15の重要な概念です。
取引価格を決定する必要があります。
We need to determine the transaction price.
「determine」は「決定する」という意味です。
変動対価を見積もる方法について。
Regarding the method for estimating variable consideration.
「regarding」は「〜に関して」という意味で、フォーマルな状況で使われます。
期待値アプローチが適切です。
The expected value approach is appropriate.
「appropriate」は「適切な」という意味です。
残余アプローチを使用して単独販売価格を見積もります。
We estimate SSP (Standalone Selling Price) using the residual approach.
「residual approach」は単独販売価格を間接的に見積もる方法の一つです。
単語)residual /rɪˈzɪdʒuəl/ 残余の、残りの
取引価格を配分してください。
Please allocate the transaction price.
「allocate」は「配分する」という意味です。
単独販売価格を見積もる必要があります。
We need to estimate the standalone selling price.
SSPの見積もりは、複雑な契約で特に重要になります。
比例配分を使用します。
We will use proportional allocation.
「proportional allocation」は「比例配分」という意味です。
単語)proportional /prəˈpɔːrʃənəl/ 比例した
収益をいつ認識すべきですか?
When should we recognize revenue?
「recognize revenue」は「収益を認識する」という会計の基本的な表現です。
支配の移転が発生したとき。
When the transfer of control has occurred.
「occur」は「発生する」という意味です。
収益は一時点にわたって認識されます。
Revenue is recognized at a point in time.
「at a point in time」は「一時点で」という意味です。
一定期間にわたる収益認識。
Revenue recognition over time.
「over time」は「一定期間にわたって」という意味です。
進捗度を測定する方法。
The method for measuring progress towards completion.
「progress towards completion」は「完成への進捗」という意味です。
投入法と産出法を比較します。
We compare the input method and the output method.
「compare」は「比較する」という意味です。
契約獲得コストを資産化します。
Capitalize contract acquisition costs.
「capitalize」は「資産化する」という意味です。
単語)capitalize /ˈkæpɪtəlaɪz/ 資産化する
減損の兆候を評価します。
Assess for indicators of impairment.
「indicators of impairment」は「減損の兆候」という意味で、資産の価値低下を示すサインを指します。
単語)indicators /ˈɪndɪˌkeɪtərz/ 兆候、指標
単語)impairment /ɪmˈpɛərmənt/ 減損
開示要件を遵守してください。
Please comply with the disclosure requirements.
「comply with」は「〜を遵守する」という意味です。「disclosure requirements」は「開示要件」です。
単語)comply /kəmˈplaɪ/ 遵守する
単語)disclosure /dɪsˈkloʊʒər/ 開示
財務諸表への影響を分析します。
Analyze the impact on the financial statements.
「impact」は「影響」という意味です。「financial statements」は「財務諸表」です。
移行規定に従ってください。
Follow the transition provisions.
「transition provisions」は「移行規定」で、新基準適用時のルールを指します。
単語)transition /trænˈzɪʃən/ 移行
単語)provisions /prəˈvɪʒənz/ 規定、条項